大判例

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仙台高等裁判所 昭和31年(う)195号 判決

原判示第4回東北自治宝くじ(証第一号)は、当せん金附証票法によつて発行せられたもので、同法の規定によれば、その転売が禁止せられ、受託銀行から直接これを講入した者又はその一般承継人でなければ当せん金品を受領することができず、全く流通性を欠いていることが明白である。しかし刑法にいわゆる有価証券たるためには、証券上表示せられた権利の行使に、その証券の占有を必要とするものでなければならないが、それで足り、更にその証券がいわゆる流通性を有すべきことは必らずも必要としないところ、右当せん金附証票法によれば、当せん金品の支払い及び受領は必らず当該当せん金附証票と引換えになさねばならないもので、これに違反したときは刑罰を科せられることが明白であるから、同法によつて発行せられた当せん金附証票である原判示第4回東北自治宝くじが、刑法上有価証券に該当することは疑いのないところである。叙上に反する原判示見解は採用することを得ない。而して、被告人は、同人所有の八等三〇円に当せんした右宝くじの番号を原判示の如く改ざんしたもので、その所為は有価証券の偽造罪ではなくて、変造罪を構成するものと解すべきであるから、原判決が右被告人の所為を以て有価証券の偽造にも変造にもならないものとして、無罪を言渡したことは、法律の解釈適用を誤つたもので、この誤りは原判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点において原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。

よつて、控訴趣意中右以外の部分は、叙上の論旨が理由のないことを前提とするものであるから、その判断を省略して、刑訴法三九七条によつて、原判決を破棄し同法四〇〇条但書に則り、更に当裁判所において次のとおり判決する。

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和三〇年八月二九日第4回東北自治宝くじ(額面五〇円)の抽せんの結果が発表になり一等一、〇〇〇、〇〇〇円の当せん番号は、2組138835であることを知り、さきに被告人が買つた右宝くじ一〇枚のうちに、下一桁が5で八等三〇円に当せんした2組130.000台のものがあつたところから、同日頃、青森市安方町所在国鉄青森駅構内臨港第三踏切番舎において、行使の目的を以て、右宝くじの番号中1.000、100、10位の各数字の部分を軽便カミソリ(証二号)で薄く剥ぎとり、残りの空くじとなつたものの中から、8、8、3の数字を切りとつて、右剥ぎとつた箇所にはめ込んで貼りつけ、その番号を138835と改ざんし前記一等一、〇〇〇、〇〇〇円当せんの宝くじの如く作りあげて(証一号)その変造を遂げ、同年九月五日頃前同所において、右変造の宝くじを、変造したものとは知らず真実一、〇〇〇、〇〇〇円に当せんしたものと思いこんでいる喜多久雄に、真正なものとしてこれを交付して行使し、同人をしてその旨誤信せしめ、よつて同日前記踏切番舎において同人から借用名義で二〇〇、〇〇〇円の交付を受けてこれを編取したものである。

(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 斉藤勝雄 裁判官 杉本正雄)

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